第1426回 ホドグラフと新世界ルルー
春うらら眠る猫らの細鼾。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
物理の授業で加速度について習った時、最初はその意味するところがよくわからず、速度と何が違うのか理解できませんでした。今、何も知らない小学生に加速度とは何かを説明するとしたらどう言えばよいか。加速度の定義と言えば「単位時間当たりの速度の変化率」とか「速度を時間で割ったもの」とか「速度を時間で微分したもの」となりますが、そんな言いかたで伝わるわけがなく、もっと根本的かつ具体的かつ実際的でなければならないでしょう。例えば「1秒で、速さがどれぐらい変わったか」というふうに。
しかしそれならば、「速さ」とは何かも説明できなくてはいけません。同じ言いかたをすれば、「1秒で、距離がどれぐらい進んだか」となるし、そうなると「距離」も噛み砕いた方が親切で、「2つの点を結んだ長さ」とかなんとか言うことになるでしょう。
結局のところ、物と物との間について、位置と時間の関係を見ることによって、距離が生まれ、速度が生じ、加速度をも導くことになります。物理学はモノの関係性を見抜くためのもので、それが世の中を切り拓いていくことに繋がるのだなと感じ入る次第です。
そういえば島村ジョーの奥歯には加速装置というものが仕込まれていましたね。単に高速化するのではなく、速度の変化を任意に操作することで、あたかも瞬間移動するかのような離れ業が可能になるという夢のような能力でした。
<今日の一唱>
石ノ森章太郎『サイボーグ009』