第1423回 引き上げ線とキメラDNA

周遊忌ガス点検の季節過ぐ。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。

言葉とは知れば知るほど奥深く面白いなと思うのですが、例えば通音と通韻というものがあって、五十音表の同行あるいは同段の音が互いに変換し合うのも興味深い現象です。「あるく」と「ありく」、「けむり」と「けぶり」、「かなしむ」と「かなしぶ」、「きみ」と「きび」(黍)、「さねかづら」と「さなかづら」(実葛)、「うつせみ」と「うつそみ」(空蝉)など、音を入れ換えてもよいとする謎のルールは、言いやすさとか語調合わせなどの事情を汲んだ工夫のようなものでしょうか。

一方で、論理や数学や技術を優先し進化させていくと、物事はより厳密になっていくはずで、音を勝手に入れ替えるような真似は許されなくなっていく気がするのですが、そうなると通音のような現象は淘汰の方向に進むのかもしれません。コンピュータ思考やAI頭脳が発展していくことには、そういった懸念もありそうです。

そういえば天才バカボンに出てくる漫画家が「バカ塚不二夫」であるのも、通音の一種だったのでしょうか。ものを入れ換える、差し換える、取り換える、すげ換える発想は新しいものを生み出す手段の一つでしょう。

(A面へ)

<今日の一唱>
赤塚不二夫『天才バカボン』

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