第1421回 ルドルフ数と売上総利益
からからと音立てるよな春霞。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
焼鳥用の竹串を買ったらパッケージのラベルに「長さ約17cm、本数約50本」と書いてあって違和感を覚えました。長さはよいのですが、本数は自然数でしかあり得ないのだから「約」はおかしいのではないか。
事情を考えてみるに、おそらく本数をカウントするのではなくケースに詰め込んでぴったり収まれば完成としているのでしょう。寿司職人がシャリをいつもほぼ同じ量で握れるように。それならもしかしたら1、2本の誤差はあるかもしれません。しかし50本のレベルであれば正確に数えてほしいなあと感じたのでした。
思えば、正確さをぼかす表現は日常にあふれています。「だいたい」「ざっくり」「ぐらい」「約」「およそ」「ほぼ」「○○前後」「なんか」「××っぽい」「△△的な」など、文法的に怪しいものも含めて、世の中は正確な表現を避ける傾向にあるのでしょうか。
そういえばおおひなたごう先生の『おやつ』では、生まれた子供の名前を円周率にする話がありますが、翌日には「およそ3」と呼ぶようになるというオチでした。ぼかし表現は必然的に生まれるもので、便乗的に利用するものではないのかもしれません。
<今日の一唱>
おおひなたごう『おやつ』