第37回 ヤドカリと葛飾北斎
語り伝えられるところでは――さあれブロガーはさらに多くを知りたまい、さらに賢く、さらに力強く、さらに恵みふかくまします――こんにちは、大島雅己です。
ITシステムを支えているものの一つが、インフラです。インフラストラクチャー。一般的に使う場合は、社会基盤などの意味ですが、ITの現場ではシステムを下支えしているもの、つまりサーバとか、ネットワーク回線とか、そういうマシン的なものや、あるいはコンピュータセンター設備を指したりもしますね。
システムが動くためには、それが乗っかる環境というのものが必要です。それがインフラです。1台のパソコンだけで動いているシステムであればそのパソコン自体がインフラですが、LANになっていたり、インターネットを利用したシステムであったりすれば、どこかにそれなりのインフラがあるはずです。自前で環境を持っている企業もあるでしょうし、レンタルサービスの場合もあります。
ざくっと言えば、インフラを維持管理するのはたいへんなコスト、労力がかかりますので、自前で持つのは簡単ではありません。しかしレンタルであればコストや手間がかからない分、自由はききません。これは必要に応じて使い分けるものです。
インフラというのは使い続けていると、老朽化したり、スペックが不足してきたりするものです。そうなると、インフラの乗り換え、引越しという対応が必要になってきます。動いているプログラム群の機能を損なわずに、別のインフラに移し替えるということなのですが、これがどれほど厄介なものであるかは、IT関係の人でないとなかなか理解できないようです。
乗っているシステムをそのままひょいと移動させれば済む、という仕組みになっていればよいですが、まずそのように単純な構成になっていることはありません。詳細はまた次の機会に。
そういえば、家をそのまま別の土地に移動する「曳家」という技術がありますが、なかなか簡単なものではないでしょう。あれと同じです(よくわかりませんが)。
落語の世界では「松曳」というのがありますね。松がじゃまだから移動させよ、とわがままな殿様がいう話ですが、そのあと別の話題になり、何とも間抜けなサゲで話は終わります(これが落語のすごいところ)。このバカバカしさが大好きです。
<今日の本歌>
佐藤正彰訳『千一夜物語』