第474回 拈華微笑とドン松五郎
飛んでイスタンブール、光る砂漠でロール、うらまないのがルール、人の気持ちはシュール、熱く沸き立つソウル、どうせフェアリーテイル、適材適所ツール、見失わないゴール。こんにちは、大島雅己です。
ネコが鳴くのを聞いていると時々日本語を発音することがあります。まあこちらの空耳に違いないと意識していても、もしかしたら……という気になってしまう。例えば空腹をうったえている時の叫びはどうしても「ゴハーン」と聞こえるのです。普段から「ごはん食べるかい」「ごはんだよ」と言い聞かせているので、ゴハンという単語が食事につながる信号であると学習していても不思議でない。
ネコ同士の交信なら発声は不要だが、人間に対しては音声で意思表示するしかないというので、言いなれない言葉を無理に喋っているのかもしれません。ネコだって太古から人間と共存してきた同志なのだから、こちらの考えを読み取る能力ぐらい持っているのではないか。
そんなことを考えていると、人間同士のコミュニケーションというものは甚だ不便で頼りないものです。書き言葉を使って話し言葉を駆使して何度も何度もやり取りし、それでも抜けたり漏れたりするのですから。国が違えばもはや言葉も通じない、いや、同じ言語同士でも、持っている語彙が違えば話は通じない。やっと通じたと思ってもすぐに忘れて、言った言わないの愚かな争い。
そんなことを国家レベルで毎日のように繰り返しているのだから、IT現場でコミュニケーションロスが起こるのも無理はない……と諦めてはいけません。自分の思いを確実に言語化して説明する力、相手の考えを充分に聞き出して理解する力、この最重要のスキルを常に磨き続けるよう精進しなければ。
<今日の本歌>
庄野真代『飛んでイスタンブール』