第427回 初っ切りとプリテンショナー

孔子様の被仰るには「名前が正しくないと話が脱線する」と。これは本来極めて注意すべきことで、ブログの名前は列伝、自伝、内伝、外伝、別伝、家伝、小伝などとずいぶん蒼蝿いほどたくさんあるが、惜しいかな皆合わない。こんにちは、大島雅己です。

学生のときに自動車教習所に通っていましたが、生来の怠け癖と、教官に怒られるのがイヤなこともあってサボりにサボり、ついに既定の期間内に修了できず中退となりました。学科も技能も数回やっただけで、仮免すら取っていなかった。その後、冬休みを使って合宿免許に再挑戦し、なんとか免許は取れましたが、とにかく教習所にはいい思い出がありません。藤子不二雄A先生の『ブレーキふまずにアクセルふんじゃった』にあるように、教官は全員ドSの集団としか思えませんでした。今ではそんな風潮はないのかもしれませんが。

そんなイヤだった教習所ですが、運転免許を取るという観点から考えると、あれはあれでよくできている面もあるのかもしれないと思うことがあります。座学と実習の併行実践、くり返しの学習、事故の恐怖を諭すビデオ、定期的な更新、こういった課程のおかげで多くの人が運転技術を身につけてそれを維持している。いろいろと改善すべき点もあるかもしれませんが、基本的な仕組みには見習うべきものがある気がします。

組織の中の教育やガバナンスにおいては教習所のようなやり方も必要なのかもしれません。IT現場で気をつけるべきこと。押さえておくべき基礎知識。事故を起こさないための心得。セキュリテイの重要性。何はともあれ頭と体に叩き込んでは繰り返す、それによって意識が醸造されていくものです。

楽器の練習も、あれこれ考えることも必要ですが、とにかくひたすら基礎を繰り返すことが上達につながるはずです。音楽はオトをタノシムものだと紋切型の謳い文句を主張する向きもあるようですが、それだけではそれなりのレベルにしか行けないでしょう。

<今日の本歌>
魯迅『阿Q正伝』井上紅梅訳

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