第1497回 切匙と万能ペルオキシダーゼ
昼下がり寝具一式衣替え。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
「便利」とは、簡単に手間を省いてくれたり、たやすく時間を節約できたり、手軽に面倒を肩代わりしてくれたりするものです。しかし、もともとこの言葉は便の通じのこと、つまり雲個の意味だといいます。日々のお通じが滞りなくいくことは健康を左右する大事なことで、それに匹敵する価値を持つものを便利と称するようになったのでしょうか。
その語源はさておき、この言葉にはよくよく注意した方がよい。手間を省いてくれるかわりに自力で行うチャンスが奪われます。時間を節約してくれる一方で品質やコストが犠牲になっているかもしれない。面倒を肩代わりする分、知見は残りません。便利を享受する前に、本当にそれだけの価値があるものなのか、吟味するべきでしょう。便利は目的ではないはずだからです。
そういえばドラえもんの「あらかじめアンテナ」は未来の有事にあらかじめ備えることができる、一見便利この上ない道具のようですが、有事には対処できても失うものが多すぎますね。便利が常に嬉しいものではないことを思い知ります。
<今日の一唱>
藤子・F・不二雄『ドラえもん』