第1264回 連結路附属地とビザンチン将軍問題
それとなく御飯出てくる秋彼岸(攝津幸彦)。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅生です。
技術の進歩について考えるたびに思い出すのが藤子・F・不二雄氏の『21エモン』であることは度々書いていますが、60年代後期にあのような傑作を描いていたとは実に驚くべき偉業です。同時に、その作品と幼年期に出逢うことができた自分自身の運命は僥倖としか言えません。
心に焼き付いているシーンはいくつもありますが、中でも強烈なのが「ボタンチラリ星」であることは言うまでもありません。銀河系で最も科学が発達した星であり、ボタンをチラリと見るだけですべてが叶う、究極の利便性を実現させた世界です。
しかしこれが文明の理想の姿なのでしょうか。体を動かさず頭を捻らず能力を使わずに何でもできることが人生のゴールなのでしょうか。ちなみにボタンチラリ星は結局ある事情によって未開社会となってしまいます。
<今日の一唱>
攝津幸彦『鹿々集』