第21回 前座修行とアルファ碁
冷たい水で顔を洗って出直してきました。こんにちは、大島雅己です。
DAWソフトをいじりながらこう思いました。
使いこなすのに多少の修練がいるものの、その苦労はプロの音楽家になるのに比べりゃあ何程のものでもなく、そして使い方を習得してしまえばほとんどプロ並といってよいレベルの作品を作れるようになる、これはすごいことだなと。
だれでも、たいした修行なく、いっぱしの専門家ばりにモノを作れるようになるなんて、ちょっと昔だったら考えられませんよね。
ピアノを弾くにも、英語を操れるようになるにも、うまい料理を作れるようになるにも、自転車に乗れるようになるにも、泳げるようになるにも、落語家になるにも、王道はなく、とにかく日々粛々と練習を積み重ねることだけが上達への道のはず。その掟を破るかのような話ですね。
これぞまさにITによるある種のイノベーションなのでしょうか。
では、そのITそのものの現場はどうか?
システム開発そのものを、ITを利用してだれでも簡単に進められるようになるのでしょうか?
たとえば利用者の要件を分析して適正な設計を行ってプログラムに落しこみ、検証しながら磨きこんで完成に至るというプロセスが、素人でもチョロチョロっとこなせるようになるのでしょうか?
昔から仕事の現場で、新入社員を教育するたびにそんなことを考えていましたが、いまだに答えが出ていません。ということはつまり、難しいということなんだと思います…。
<今日の本歌>
立川談志「三方一両損」