第71回 キルロイと信頼性設計

おい木村さん信さん読んでって下さいよ。読んでといったら読んでってもいいじゃないですか。こんにちは、大島雅己です。

観世能楽堂が銀座に移転しましたね。先日、こけら落し公演として立川志の輔師匠の落語会が催されました。
師の定常の落語会はチケット購入が至難の業なのでなかば諦めているのですが、今回は能楽堂というと特殊さもあり、もしかしたら取れるかもとネットで申し込んでみたところ運よく購入できたのでした。
見事に設営された能舞台に圧倒されながら、珠玉の名人技に爆笑させられたのですが、志の輔師匠も語っておられたように、能と落語というのは正に緊張と緩和の究極の組合せであり、何とも得難い体験でした。

緊張の中に緩和がある状態というのは時々見られるものであります。かっちりきっちりしたものと、ふわりゆるりとしたものが絶妙なバランスで共存していると心地よいものです。
工学の世界でいう「あそび」もその延長だと思います。代表的なものは自動車のハンドルですね。ピアノの鍵盤、パソコンのキーボードにもあります。線路のレールの継ぎ目にもありますね。こういうのはバランスを取っているというより、余分な力を分散させて、有事のダメージを未然に防ぐという重要な役割を担っているわけで、なくてはならないものですね。

こういう機能がITシステムにもあるでしょうか。
プログラムは決められた要求をミスなく忠実に、そしてできるだけシンプルに実現するべきですので、緊張の塊ですね。あそびが入る余地はなさそうです。が…しかし、人が直接向き合う入出力画面などのユーザインターフェースには多少のあそびが必要かもしれません。
緊張の緩和というわけではありませんが、入力間違いの可能性があるデータをうまく察知して確認させるとか、「もしかしたらこちらでないですか」と修正してくれるような機能は、事故を未然に防いでくれているものと言えましょう。AIのおかげでこういう機能も更に進化しそうですね。
ウェブやスマホの画面ではいわゆるイースターエッグという隠しコマンド的なものが時々見られますが、これはもう「遊び心」ですね。緊張の中にも遊び心を持ち続ける姿勢は理想です。

<今日の本歌>
樋口一葉「にごりえ」

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