第599回 アラブの電話とパーラミター

葡萄の美酒夜行の杯 飲まんと欲し琵琶馬上に催す 酔うてブログを書く君笑うこと莫かれ 古来征戦幾人か回る。こんにちは、スパイラル研究所の大島雅己です。

バンドの練習をしている時に意外と忘れがちなのが、聴き手のことです。一番大事なことを忘れるとは何事かという話ですが、練習している間はついつい、演奏するという立場でものを考えてしまいます。このフレーズをどうすればうまく弾けるか。この指使いをどうするか。ここはどういう音を出すべきか。

それも大事なことなのですが、音楽を探求する者としては、もう一歩踏み込まなければならず、「これをどういう音楽として聴いてもらうか」を考えるべきなのです。音楽を発する役割に加えて、音楽を届けるというところまで意識を延長し、その届け先の目線(耳線?)からもう一度自分を見直す(聴き直す)ということです。聴き手にどう感じてほしいか。どういう思いを抱いてほしいか。聴き終わった時にどういう気分になってほしいか。

IT現場に携わっている時もこの感覚は常に持っているべきだと思います。そのシステムを使う人に何を伝えたいか。どんな湯上り感になっていてほしいか。その後どうなってほしいか。ものを作っている時、どうしてもそれを完成させることをゴールにしてしまいがちですが、本当のゴールはそれを使った人がその後どこに向かうか、だということを忘れないようにしたいものです。

<今日の本歌>
王翰『涼州詞』

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