第397回 だるま落としと轆轤ピット

幻覚を共有できたら何てすばらしいことかしら(トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』)。こんにちは、大島雅己です。

犬や猫が大好きだけどお別れの時がつらいから飼わない、という人がいます。この気持ちはわかります。私も愛猫を亡くした時は本当につらかった。もう猫は買うまいと思いましたが、猫と暮らす幸せを知っている自分にとっては、飼い主に巡り合えずに処分される猫たちを救うことは使命であると思い直して、その後も猫を飼い続けています。

とはいえ、ダメになった場合のことを考えておくというマインドは大事だと思います。IT現場でいえば、あるシステムに、あとから別の機能をつけるということは頻繁にあります。この時、もしその機能がいらなくなったらどうするか、という発想は初心者にはしづらいものです。不要になったら一瞬にして切り離せるシンプル仕組みにしてあれば、保守運用は格段に低コストで済み、トラブルのリスクも低減します。いってみれば、隠しボタン一つで全てを元通りに戻せるような仕組み、というところでしょうか。

木造建築物をつくる時、解体のための急所を仕組んでおくという方式はまさにこの意に沿ったものです。

<今日の本歌>
トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』志村正雄訳

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